2014年3月21日金曜日

L'Arclassic 第1番
第1楽章 yukihiroとベートーヴェン

クラシック音楽、一口にそう言ってもその中身は多種多様。
作曲家ごとの特徴や年代の違いなどで様々な楽しみ方がありますが、
それを現代において楽しませてくれるのがL’Arc〜en〜Cielです。
クラシックというと“おカタイ”イメージだったり“ヒーリング用”でしかない…
というアナタに、
ラルクメンバーと併せて紹介するクラシックの楽曲に、
温故知新を感じていただきましょう。

L'Arclassic 第1番 目次はこちら
L'Arclassic 第1番 第2楽章: hydeとヴェルディ編 は こちら


第1楽章
yukihiroのループ音楽は音楽の基礎ベートーヴェンにあり

yukihiroの作曲は、
ソロプロジェクトのacid androidでもみせるような
打ち込みのリズムにインダストリアルの流れという、
ループ”という概念が元になっています。
音楽史の中ではデジタルを用いた新しい技術にあたり、
ラルク加入当初は特にその印象が強かったのですが、
現在でもその技法が彼の曲の節々に感じられます。

ベートーヴェン
一般的には“ダ ダ ダ ダーン”の人であったり、“第九”であったり、“のだめの曲”など、
ポピュリティの高いフレーズというイメージを持たれがちですが、
いざ全ての曲を聴いてみると、他は“おカタイクラシック”の部分が多いため、
そこで壁を作られてしまいがちです。

その敬遠されがちなおカタイ印象を作り出しているのが、
モチーフの繰り返し”です。
繰り返しと言えば、フィギュアスケートの中継の度に流れるラヴェルのボレロ。
長めの印象的な旋律が繰り返されます。

しかしベートーヴェンは、もっと短い単位のフレーズを繰り返しています。
最も有名な運命のモチーフ「ンダダダダーン」は楽譜の1小節にも満たないのです。
このフレーズを、音程を変えたり
最後の「ダーン」を上げたりと少しずつ変化させ、
モチーフを幾重にも組み合わせて作られています。
その数なんと全楽章併せて733回!!
現代であればひたすらコピー&ペースト!といったところ。

yukihiroの曲におけるリズムやリフのループと、
ベートーヴェンの曲におけるモチーフの繰り返し……。
つまり、現代志向の強いyukihiro的なループ音楽のルーツは、
このベートーヴェンによる古典音楽にあった!という説を唱えられないでしょうか。

モチーフもループも、同じだからと言って
平坦に退屈にならないよう曲を仕上げるのは、音楽家としての腕の見せどころです。
また歳を追う毎にポピュラー性が上がってくるのも、二人の共通点といえるでしょう。

RECOMEND  --------------

マニアックさが増す第2楽章。曲の本質ここにあり。

yukihiro曲が好きな方にオススメしたいのは、
まず1曲目が“第九”こと交響曲第9番から第2楽章
“第九”といえば、第4楽章が圧倒的知名度を誇りますが、
おそらくこの第2楽章も同じ“第九”であるとは気付かずに
映画やドラマのBGM等で聴いたことがある……という人も多いのでは。
激しい弦とティンパニの応酬は、
ギターリフとドラムの掛け合いの如きロックテイストを感じさせます。
yukihiro特有のゴリゴリしたサウンド好きには溜らないのではないでしょうか。

もう1曲は、交響曲第7番より、第2楽章
“のだめ”のテレビドラマでは完全にスルーされてしまったのですが、
クラシック愛好家から特に好まれるのは、この第2楽章だったりします。
ゆったりとしたフレーズを繰り返しながら、徐々にトリップしていく……
acid androidのFaultsが好きな方には、
是非この曲を聴きながら世界に浸っていただきたいのです。

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Herbert von Karajan :Beethoven SymphonyNo.9 "Choral" [DVD] [Import]
販売元: 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
EAN: 9781573301329 / 1,299円

「ジルヴェスター(silvester)」とはドイツ語で大晦日の意味。
巨匠ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮の交響曲第9番のライブ版です。
縦のリズムに厳しい指揮によって、リズム感がいっそう栄えます。

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Beethoven:Symphonies 5 & 7 [Hybrid SACD, Import]
販売元: ユニバーサル ミュージック クラシック
EAN: 4988005578228 / 1,600円

カルロス・クライバーとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による定番の1枚。
余談ですが、クライバーが昭和女子大学人見記念講堂で披露した
ベートーヴェンの交響曲第7番(通称:ベト7)はテレビで放映され、
名演として知られています。

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2014年3月21日(金・祝)発行『L'SáGa』創刊号 掲載

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